【映画の感想】楽園

2019年10月29日感想, 日本映画佐藤浩市, 杉咲花, 村上虹郎, 柄本明, 楽園, 瀬々敬久, 片岡礼子, 綾野剛

初めに

未解決の幼女誘拐事件と同じ場所で12年後に起きた2つの事件で”容疑者と疑われる青年””心に傷を負った少女””限界集落に暮らす男性”の3つの視点で描かれるサスペンス作品

自分が思った感想

本作は3つの人物の視点で描かれるがそれと同時に3つの章に別れテーマにそってストーリーが進んでいく。作中に起きる幼女誘拐事件をキッカケで人生が大きく変わってしまった人たちが居た。

また、最初は事件に関わらないが後からあるキッカケで人生が変わってしまった人物も居る。

3つの章に分かれているが最初は幼女誘拐事件が起きる“罪”、その12年後に同じく幼女誘拐事件が起きる“罰”、最後は結局人とは何なのか?の“人”と別れており全体を紐解くと、事件が起きた事で対象人物以外も人生が狂っていく。

幼女誘拐事件では、事件が起きる直前では被害者の女の子の友達と一緒に居た、女の子の湯川紡は被害者と別れその後、いつまでも帰ってこない事をキッカケに集落一同で捜索を始めるが、探しても見つからなかった。

まだ小さい小学生の紡は被害者の祖父”藤木五郎”に執念深く責め立てられる。紡は責められた事と、自分が一緒じゃなかった事と重なり、小さいながら大きな心の傷を負うことになった。

最初の事件で感じるのは違和感である。違和感とは何か?集落で事件が起きた時の人の動きで、この時は自治体を含めてごくごく普通の対応に見えるがしかし後々、大きな捻れとして集落に根深く残ってしまう。

幼女誘拐事件から12年後、集落は昔に比べると人が大きく減っていた。その中で集落に暮らし、リサイクル品販売をしている中村豪士と言う青年が居た。

豪士は大人しく、あまり喋る事も無く、集落に住んでは居るが孤立している感じのある青年だった。彼は何時ものようにリサイクル品を仕入れ、売りに行っている毎日だった。

更に紡は大人になり、集落から離れ、東京の新宿でアルバイトをする生活を送っていた。紡が集落から出たのは過去の事件から離れるためだった。

そして、集落には新しい人物もおり、養蜂家を営みつつ、集落でなんでも屋を行う田中善次郎は高齢化が進む集落で高齢者が出来ない様な力仕事などを請け負っていた。

この3人は間接的な接点を持つ事になり、集落のお祭りの人数あわせの為に一度集落に戻ってくる紡がある事をキッカケで豪士と接点が生まれ。別の所で紡と善次郎の接点が生まれると言う、些細なキッカケでの接点が重要になってくる。

祭りの夜、12年前と同じ幼女誘拐事件が起きるが、この時は12年前と違い、過去の接点を洗い出し、ある人物を一方的に攻め立てる事になる。

その洗い出しはたまたま警察に事情を聞かれた事を思い出し、思い込みで警察や市役所を無視すると言う狂った状態に陥る。

しかし疑うが証拠も無ければ全て憶測でしか無いため、結局はわからずじまいで事件は解決する事は無かったが、疑われた人物は自殺を図ってしまう。

しかも幼女誘拐事件は疑っていた自殺が原因で迷宮入りしてしまい、12年前の被害者の祖父の藤木五郎はあいつが犯人だったらどんなに良かったかと自分勝手な発言をする。

藤木五郎の発言は12年前に彼に激しく責め立てられた、紡に対しての発言で紡は置かれている状況も含め、12年前と同じ事を思い出す。

ここまでが2章になるが、読んで頂けると分かると思うが、集落の住民は取り返しのつかない”罰”を犯してしまう。罰は事件を迷宮入りにした事と死者を出してしまった事、1章の罪は被害者の祖父の藤木五郎が起こした行動で、実のところ罪も罰も彼が原因で引き起こされる。

3章に入ると、集落は更に酷い状態に陥り、高齢化が進むにつれ自分のことしか考えない人物が増えるようになる。ある出来事がキッカケである人物が村八分に陥るようになる。

その人物は集落で孤立していき徐々に狂気に取り憑かれるようになる。この村八分が原因で幼女誘拐事件では無く集落を大きく巻き込む猟奇的な事件が起きる。やはりその中心に藤木五郎が居た。

本作は幾つか腑に落ちない点もあるが、人間が作り出す罪と罰を上手く描いている所がある。特に集落と言う、長くいれば全員が顔見知りで、ある意味プライバシー等が存在しないような場所で事件が起きるので、実際誰が狂っているのがわからなくなったりする。

その他だと個人的にお色気シーンがあるのだが、これが物凄く蛇足に感じた。これ要るの?って思った。

更に言うと、明るいシーンは一切無く、何気ない日常シーンですら影を落としているので、人によっては重く辛いシーンがのしかかってくる。

これも場違いと思ったのがエンディング曲の一縷は凄くいい曲なんだけど、余韻としては少し違うのでは?と思った。

少し話は本作から外れるが、本作の上映後、同時期に公開された洋画、ジョーカーに似ている箇所があるためか、楽園を日本版ジョーカーと呼ぶ人もいるが、内容を深堀りすると納得出来る。

最後に一言

個人的に見ると、村八分の恐怖と、悲しい事件があった時の尾は消える事が無いと言うメッセージを残しているのでは?と思った。

ただ万人受けする作品ではないし、胸くそ悪い展開もあるのである程度作品の知識を入れた方が良いとも感じた。

作品の概要

公開日:2019年10月18日
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久
主な出演:綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、柄本明、村上虹郎、片岡礼子

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上映時間:129分
鑑賞方法:映画館
映画館での鑑賞回数:1回